七五「これが天理や」

ヒカル

先生、ハルカちゃん、こんにちは。

ハルカ

こんにちは。今日もよろしくお願いします!

先生

ヒカルくん、ハルカちゃん、こんにちは。
今日は『稿本天理教教祖伝逸話篇』の、七五「これが天理や」に学ばせてもらいましょう。

今回のポイント
人間の親である親神様・教祖(おやさま)は、子どもが精一杯の誠真実を出すならば、それ以上の力で後押しをしてやるから安心して信心するようにと励ましてくださっている。

七五 これが天理や


明治十二年秋、大阪の本田に住む中川文吉(なかがわぶんきち)が、突然眼病にかかり、失明せんばかりの重態となった。隣家に住む井筒梅治郎(いづつうめじろう)は、早速おたすけにかかり、三日三夜のうちに、鮮やかな御守護を頂いた。翌十三年のある日、中川文吉は、お礼詣りにお屋敷へ帰らせて頂いた。
教祖は、中川にお会いになって、

「よう親里を尋ねて帰って来なされた。一つ、わしと腕の握り比べをしましょう。」

と、仰せになった。
日頃力自慢で、素人相撲の一つもやっていた中川は、このお言葉に一寸(ちょっと)苦笑を禁じ得なかったが、拒むわけにもいかず、逞(たく)ましい両腕を差し伸べた。すると、教祖は、静かに中川の左手首をお握りになり、中川の右手で、御自身の左手首を力限り握り締めるように、と仰せられた。
そこで、中川は、仰せ通り、力一杯に教祖のお手首を握った。と、不思議な事には、反対に、自分の左手首が折れるかと思うばかりの痛さを感じたので、思わず、「堪忍(かんにん)して下さい。」 と、叫んだ。この時、教祖は、

「何もビックリすることはないで。子供の方から力を入れて来たら、親も力を入れてやらにゃならん。これが天理や。分かりましたか。」

と、仰せられた。

『稿本天理教教祖伝逸話篇』131ページ
ヒカル

先生、逸話篇の中には、教祖が力比べをなされる逸話が他にもいくつかありますよね。

先生

そうですね。六八「先は永いで」、八〇「あんた方二人で」、八一「さあお上がり」、一一八「神の方には」、一三一「神の方には」、一五二「倍の力」、一七四「そっちで力をゆるめたら」、一八五「どこい働きに」などの逸話がそうです。

ハルカ

へー、そんなにあるんですね!
先生、力比べって、教祖はどんな風に力比べをなさったんですか?

先生

この逸話では、お互いの左手の手首を握り合っておられますね。
他には、握手のようにお互いの手を握り合ったり、つとめ場所の上段の間にお座りになっている教祖の両腕を二人掛かりで引っ張ったり、教祖が相手の両手首をお握りになって振りほどくように言われたりしています。
ちょっと変わったのでいくと、相手の手の甲の皮を人差指と小指とで挟んで引っ張られたり、相手にご自分の腕を力一杯握らせたりしておられます。

ハルカ

いろんな力比べをなされているんですね。
でも、女性の教祖相手に本気は出せないですよね。

先生

そうですよね。しかも、この頃の教祖のご年齢はすでに80歳を超えています。
この逸話に出てくる中川文吉先生も、「一つ、わしと腕の握り比べをしましょう。」という教祖のお言葉に、思わず苦笑を禁じ得なかったと書いてあります。

ヒカル

だけど、実際に教祖の手首を力一杯に握ってみたら、反対に自分の手首が折れそうなくらい、激しい痛みを感じたっていうことなんですね?

先生

そうなんです。他の逸話でもだいたい同じで、自分の手が痛くなったり痺れたり、教祖の圧倒的な力に誰も太刀打ちできません。

ハルカ

えー、すごいですね!
みんなビックリしたんじゃないですか?

先生

そうです。「堪忍して下さい」と叫んだり、「恐れ入りました」と平伏したりしていますね。

ハルカ

先生、教祖はなんでそんな力比べをなされたんですか?

先生

他の逸話を見てみますと、「全く恐れ入って、教祖の偉大さをしみじみと感銘した」とか「人間業ではないなあ。成る程、教祖は神のやしろに坐します」と心に深く感銘したと記されています。

ヒカル

なるほど。普通ではあり得ないことを現実に体験させて、教祖が神様の入り込まれる「月日のやしろ」であられるという証拠を示された、ということですかね?

先生

そういうことですね。また一方で、教祖は「何もビックリすることはないで。子供の方から力を入れて来たら、親も力を入れてやらにゃならん。これが天理や。分かりましたか。」と仰っています。

ヒカル

えっと、どういうことですか?
ちょっと難しいかも。

先生

うーん、そうですねぇ。例えば人間の親子でも、子どもが本気で一生懸命頑張っている姿を見れば、放って置けず全力で応援をしてやりたくなるのが親心というものなのです。
それと同じように、親神様・教祖は人類の親ですから、子どもが精一杯の誠真実を出すならば、それ以上の力で後押しをしてやるから安心して信心するようにと、お励ましくださっているのだと思います。

ハルカ

なるほど。親神様・教祖が付いていてくださるなんて、すごく安心できますね。

ヒカル

あー、僕も教祖と力比べしてみたかったなぁ。

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