「かしもの・かりもの」について考えよう!

①くにとこたちのみこと(人間身の内の眼うるおい、世界では水の守護の理)

②をもたりのみこと(人間身の内のぬくみ、世界では火の守護の理)

③くにさづちのみこと(人間身の内の女一の道具、皮つなぎ、世界では万つなぎの守護の理)

④月よみのみこと(人間身の内の男一の道具、骨つっぱり、世界では万つっぱりの守護の理)

⑤くもよみのみこと(人間身の内の飲み食い出入り、世界では水気上げ下げの守護の理)

⑥かしこねのみこと(人間身の内の息吹き分け、世界では風の守護の理)

⑦たいしよく天のみこと(出産の時、親と子の胎縁を切り、出直しの時、息を引きとる世話、世界では切ること一切の守護の理)

⑧をふとのべのみこと(出産の時、親の胎内から子を引き出す世話、世界では引き出し一切の守護の理)

⑨いざなぎのみこと(男雛型・種の理)

⑩いざなみのみこと(女雛型・苗代の理)

以上を十柱の神といいます。

さらに、

しかときけこのもとなるとゆうのハな
くにとこたちにをもたりさまや

『おふでさき』第16号 12

と、この世の元の神・実の神は、月日親神であり、月様をくにとこたちのみこと、日様ををもたりのみことと教えられ、この二柱は、他の八つのお働きとは別格のものと分かるように、このおふでさきにも、「さま」という敬称をあえて付けておられます。そして、

このよふのしんぢつの神月日なり
あとなるわみなどふくなるそや

『おふでさき』第6号 50

にんけんをはぢめよふとてたん/\と
よせてつこふたこれに神なを

『おふでさき』第6号 51

と、示されるように、あとの八柱は道具であり、それらのお働きにも、人間が理解しやすいように神名を付けられました。

これらの親神様のお働きによって、私たちは常に守られ、お育ていただいているのですが、このご守護をなかなか実感できないのが人間なのです。

自分が大きな病気になったり、近しい人が亡くなったりしたときには、「お借りしている身体なんだな」「いつかはお返ししなければならないんだな」と感じるのですが、普段、私たちは、自分の身体を思い通りに使わせていただけるので、全てを「当たり前のこと」と感じてしまい、生かされているありがたさをなかなか感じられないのです。

かつて、31歳という若さで妊娠中の妻と1歳の娘を残し、がんで亡くなった医師・井村和清(いむら かずきよ)氏が、闘病中に残した詩です。

あたりまえ/こんなすばらしいことを、みんなはなぜよろこばないのでしょう/あたりまえであることを/お父さんがいる/お母さんがいる/手が二本あって、足が二本ある/行きたいところへ自分で歩いてゆける/手をのばせばなんでもとれる/音がきこえて声がでる/こんなしあわせはあるでしょうか/しかし、だれもそれをよろこばない/あたりまえだ、と笑ってすます/食事がたべられる/夜になるとちゃんと眠れ、そして又朝がくる/空気をむねいっぱいにすえる/笑える、泣ける、叫ぶこともできる/走りまわれる/みんなあたりまえのこと/こんなすばらしいことを、みんなは決してよろこばない/そのありがたさを知っているのは、それを失くした人たちだけ/なぜでしょう /あたりまえ

『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』「あたりまえ」祥伝社

私たちは、陽気ぐらしができるよう、親神様より身体をお借りし日々生かされています。そのことを知り、感じ、日々感謝すること、それが、「かしもの・かりもの」の教えの中で一番大切なことなのです。

※『Happist』2017年10月号掲載

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