さて、魂について話をすると、よく「前生は誰々だった」とか「この子は誰々の生まれ変わり」などといった話が、よく出てきます。これはお道の中だけでなく、世間でもよく話題になって、霊能者なる人が「あなたの前世は誰々で……」なんていうテレビ番組まで時々あります。
それにも関係する話ですが、お道の先人の先生がある時、
人間は、九億九万九千九百九十九人の人数と、聞かせられるが、中に牛馬におちてゐるものも、有るとの事なれば、人間の数は、現在ふえてをりますか、又へつてをりますか
『改訂正文遺韻』「人間の魂に就て」279頁
との問いを教祖に伺ったそうです。すると教祖は、
それはふえてある
同頁
とお答えになったそうです。
この尋ねられた確かな年代は分かりませんが、この頃の世界人口は約14億人と考えられていますので、確かに元初まりの時の人数より増えています。
しかし、西暦1800年以前は、世界の人口は10億人には満たない数でずっときたと考えられているそうなので、地球の長い歴史の中で、立教より少し前に、ようやく世界の人口が初めて10億人に達したと考えられます。これも不思議といえば不思議なことです。
そして、教祖は「ふえてある」とお答えになられた後、
元は、九億九万九千九百九十九人の人数にて、中に、牛馬におちて居る者もあるなれど、此世はじめの時より後に、いきものが出世して、人間とのぼりてゐるものが沢山ある。それは、とりでも、けものでも、人間をみて、あゝうらやましいものや、人間になりたいと思ふ一念より、うまれ変り出変りして、だん/\こうのうをつむで、そこで、天にその本心をあらはしてやる。すると、今度は人間にうまれてくるのやで。さういふわけで、人間にひき上げてもらふうたものが、沢山にあるで
『改訂正文遺韻』 同頁
と仰せられたそうです。
ここで私は思うのです。現在の世界の人口は80億人を超えているといわれます。しかし、わずか200年前は10億人でしたので、たった200年間で人口は8倍も増えたのです。つまり、現在、地球上に存在する人々の多くが、最近、人間に引き上げてもらった魂ということになりますよね。お互い「前生は誰々だった」とか、あまりむやみに考えない方がいいと思いませんか?
目にも見えず、有るのか無いのか感じることもできない魂について考えることは難しいことですが、生き通しの魂に身体をお貸しくださっていることを思うと、魂の話を抜きにしては、お道の教えは考えられませんよね。
次回はこの魂にも深く関係のある「いんねん」について考えたいと思います。
※『Happist』2018年1月号掲載