内田孝雄「親に見守られて」

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霊が見える!?

4年前の2月、私の母は急性心筋梗塞という病で出直した。あまりに突然過ぎる出来事に戸惑い、頭が混乱した。昨日まで、いつも通り顔を合わせて、会話をしていた母親の声が聞こえない。目も口も開かない、身体も動かない。

天理教の教えでは、身体は親神様からお借りしているものであり、出直しとはその身体をお返しすることだと頭では分かっている。しかし、突然会えなくなるという現実を突き付けられ、正直、心が追い付かなかった。

母親が出直して、2年ほど経ったある日、以前から、おたすけに通っている60代のご婦人に、いつものようにおさづけのお取次ぎをさせていただいた。おさづけが終わり、会話を楽しんでいた時に、そのご婦人が突然「わっ!」と叫び、驚いた表情で私を見た。

どうされたんですか? と尋ねたところ、そのご婦人が言うには、私の右肩の辺りに、女性の霊が見えるということであった。絶対嘘だと思いながらも、どんな方ですか? と聞くと、顔の表情やパーツ、髪型や骨格、年代まで詳しく教えてくれた。それを一通り聞き終えた私はハッとした。

いつも見守ってくれている

なぜかというと、どう考えてもそれは間違いなく私の母親の姿だったからだ。しかも、そのご婦人は生前の私の母親を見たことが無い。ましてや、出直していたことなど全く知るはずがないのだ。さらに、「何か、この女性の方はボディーガードみたいな雰囲気で後ろに構えてますね」とご婦人が言った。

生前に十分な親孝行ができなかった申し訳なさと、そんな自分に対して出直してもそばで見守ってくれている母の温もりを感じ、思わず泣いてしまった。

私はこの出来事を通して、人は死んでいなくなるのではなく、親神様からの「かりもの」である体をお返しして、魂となって見守ってくれているということを感じ、安心感に包まれた。そして、その魂が親神様から新たな身体をお借りして、またこの世に出直してくるのだ。

皆さん方のご先祖も、ひょっとしたらあなたのそばでいつも見守っているかもしれない。朝夕のおつとめを通して、親神様、教祖はもちろんのこと、祖霊様にも、日々心からお礼を申し上げることの大切さを感じる出来事だった。

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