畠山信太郎「1回でいいから」

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1回で変わる

皆さんは「1回でいいから」という言葉を一度は耳にしたことがありませんか? 「1回でいいからこれ食べてみない?」、「1回でいいからあそこ行ってみない?」など、この言葉には「一度は体験してほしい」という相手からの願いが込められていると思います。

高校1年生の夏休みに入る直前、私は学生生徒修養会・高校の部に「1回でいいから参加してみない?」と勧められましたが、部活を言い訳に断りました。2年後に再びその言葉を聞くこととなり、部活の合宿やインターハイもなく、断る理由がなかったため行くことにしました。嫌で仕方がなかったのですが腹をくくり、1週間乗り切ることだけを考えて当時の12母屋に入りました。

どんな人が一緒になるのかという不安がありましたが、何とか数日過ごすことができました。そして、だんだんと楽しくなっていき、班のみんなと仲良くなっていく中で不思議と「おぢばでの生活もいいかもしれない」と思いました。学修後に自教会へ戻った私は、指定校推薦で決まっていた短期大学への進学を取り止め、天理大学への進学を決めました。

素直に受け取れば

天理大学では楽しい学生生活を過ごし、一生の友人にも恵まれました。卒業後は天理教校本科実践課程、その後、布教の家石川寮へと進みました。学修に行かなければ、天理大学への進学もなかったでしょうし、また違った人生があったのかもしれません。「1回でいいから」、という言葉を素直に聞いた当時の私をほめてあげたいです。

私事ですが、8年前に結婚し、2人の子どもをお与えいただきました。結婚前、妻と自教会で打ち合わせをしていたところ、あるDVDを発見し、妻が「これ私も持ってるよ」と言いました。それは、当時学修で行われていた「全体のつどい」のリハーサルの様子を記録したDVDで、妻は1人で歌を歌い、私は班の男子全員で曲に合わせてタオルを振っていました。場面は違っても同じものに映っていたということは、もしかしたらこの時からすでにご縁があったのかもしれません。

成ってくる出来事にはどんな意味があるのか、その時は分からなくても素直に受けることが大切だと私は思いました。現在、息子は小学校1年生、娘は2歳です。彼らが大きくなったら、私もきっと言うのでしょう。「1回でいいから学修に行ってみたら?」と。

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