一三「種を蒔くのやで」

ヒカル

先生、ハルカちゃん、こんにちは。

ハルカ

こんにちは。今日もよろしくお願いします!

先生

ヒカルくん、ハルカちゃん、こんにちは。
今日は『稿本天理教教祖伝逸話篇』の、一三「種を蒔くのやで」に学ばせてもらいましょう。

今回のポイント
お道の教えが、どのようにして大和の庄屋敷村から大阪へ、大阪から日本全国へと伸び広がっていったのか?
その軌跡を知ることができる。

一三 種を蒔くのやで


摂津国安立村に、「種市」という屋号で花の種を売って歩く前田藤助(まえだとうすけ)、タツという夫婦があった。二人の間には、次々と子供が出来た。もう、これぐらいで結構と思っていると、慶応元年、また子供が生まれることになった。それで、タツは、大和国に、願うと子供をおろして下さる神様があると聞いて、大和へ来た。しかし、そこへは行かず、不思議なお導きで、庄屋敷村へ帰り、教祖にお目通りさせて頂いた。すると、教祖は、

「あんたは、種市さんや。あんたは、種を蒔くのやで。」

と、仰せになった。タツは、「種を蒔くとは、どうするのですか。」と、尋ねた。すると、教祖は、

「種を蒔くというのは、あちこち歩いて、天理王の話をして廻わるのやで。」

と、お教えになった。更に、お腹の子供について、

「子供はおろしてはならんで。今年生まれる子は、男や。あんたの家の後取りや。」

と、仰せられた。このお言葉が胸にこたえて、タツは、子供をおろすことは思いとどまった。のみならず、夫の藤助にも話をして、それからは、夫婦ともおぢばへ帰り、教祖から度々お仕込み頂いた。子供は、その年六月十八日安産させて頂き、藤次郎と名付けた。
こうして、二人は、花の種を売りながら、天理王命の神名を人々の胸に伝えて廻わった。そして、病人があると、二人のうち一人が、おぢばへ帰ってお願いした。すると、どんな病人でも次々と救かった。

『稿本天理教教祖伝逸話篇』 15ページ
ヒカル

前田藤助さんの奥さん・タツさんは、本当は大和の別の神様のところへ行こうとしていたのに、不思議なお導きで、お屋敷へ引き寄せられたっていうことですね?

先生

そうです。安立村というのは今の大阪市住吉区の辺りだそうですが、大和の「しょむてんのんさん」という神様を頼って大和に来たと言われています。
その道中のどこかの茶店で道を尋ねたところ、「それならば、庄屋敷村の天理王命という神様が現れているからおいでなさい」と勧められたということです。

ハルカ

へぇ、そうなんですか。ところで、慶応元年っていうことは、明治維新よりも少し前ですけど、その頃に、もうそんなに評判になっていたんですか?

先生

慶応元年といえば、山中忠七先生や飯降伊蔵先生が入信された元治元年の翌年ですので、まだまだ信者といえるような人は多くなかった頃だと思いますが、龍田村や安堵村の辺りには、もうすでに、ある程度の信仰者がいたようです。大和国内でも、かなり早い方だと思います。

ハルカ

あ、龍田村、安堵村って聞いたことがあります。
確か、こかん様が歩かれた十三峠を越えて、歩いておぢばがえりした時に通ったような気がします。

先生

そうです。龍田村や安堵村というのは、大阪から峠を越えてきた人が立ち寄る場所なので、この場所からあちこちに評判が広がったのではないかと思います。

ヒカル

なるほど。そのおかげで多くの人がお屋敷へ引き寄せられたんですね。

先生

そういうことになりますね。そして、当時の大阪は、「天下の台所」と呼ばれるほど、日本全国の物流が集中する経済・商業の中心地でした。
また、海運が盛んだったことから、この大阪には日本中から人々が集まっていました。
ですから、この大阪に道をつけるということは、「天理王命」の神名が日本中に伝わっていくことにつながるのです。

ハルカ

ひょっとしたら、嘉永6年に、教祖がこかん様に命じて、浪速の町へ神名を流しに行かせられたのも、大阪がそういう場所だったからなのかも!

先生

さあ、それはどうでしょう。でも、この大阪の各地を歩き回り種を売る「種市」こと前田藤助さん夫妻が、あちこちを歩いて、親神様の話をして回ることによって、まさしく種をまくように大きな「にをいがけ」となったのです。
実際に、この人から道が伝わって、眞心組(現・西大教会)の講元・博多藤次郎という人や大阪真明組(現・芦津大教会)の講元・井筒梅治郎という人が入信することになるのです。
そして、この大阪から、お道は日本全国へと広がっていきました。

ヒカル

先生、教祖はそのことを分かっておられたんですかね?

先生

それは分かりませんが、その可能性は十分にあると思います。
逸話篇の他の逸話も読んでもらえば分かると思いますが、親神様は、ご用に使う上から、明確な意図をもって、人々をお屋敷へお引き寄せくださっていますからね。

ハルカ

やっぱり親神様・教祖ってすごい!!

参考文献:『天理教傳道史』高野友治著

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