現在の科学の研究では、宇宙はおよそ137億年前にビックバンでできて、地球は約46億年前にできたとされています。
そして、地球ができてからかなり早い段階で地球から飛び出た塊が月となって、地球が太陽の周りを回り、月が地球の周りを回るという動きが始まっています。
その後、地球の岩石に含まれた水分が蒸発して雲となって、ひたすたら雨が降り続いた長い時期を経て、今から40億年ほど前に海ができたと考えられています。
それから今よりも遥かに近くにあった月の引力により、海洋は津波級の大きな波を作り続け、あらゆる物質が混ざることで水中で単細胞生物が生まれたと考えられています。
しかし、単細胞生物の進化は遅く、20億年もの長い年月をかけてようやく真核生物が誕生し、同じころからオゾン層ができて宇宙からの有害な紫外線を遮るようになったと考えられています。
そして、定かな年限は分からないものの10億年頃に有性生物、すなわちオス・メスができ始めて生物はだんだんと進化を始めたということです(最近発見された地球最古の有性生物は、5億6500万年前のものだそうです)。
ざっと地球と生物の始まりについて述べましたが、こうした地球科学による研究は今から100年ほど前から急激に発展し、実際に詳しいことが分かるようになってきたのはここ数10年で、現在も次々と新しいことが分かってきているようです。
ですから、教祖が元初りの話を説いてくださったときには、地球の始まり、人間の始まりについては世界中の誰も知らないことだったのです。
さて、『天理教教典』には、
この世の元初りは、どろ海であった。月日親神は、この混沌たる様を味気なく思召し、人間を造り、その陽気ぐらしをするのを見て、ともに楽しもうと思いつかれた。
『天理教教典』第3章「元の理」
とありますが、教祖が元初りとして教えてくださっているのは、人間を創めた9億9万9999年前からで、親神様が混沌たる様を味気なく思召され、人間を造ろうと思われたのは、およそ9億年前ということになります。
すなわち、地球ができてから37億年後、生物ができてから26億年ほど経ったときということになります。
そして第2節「ちよとはなし」の地歌に「このよのぢとてんとをかたどりて ふうふをこしらへきたるでな これハこのよのはじめだし」とあるように、「ふうふ」すなわちオス・メスをつくられてから、人間世界を始められ、それから何億年という時間を掛けて、だんだんと今の人間に育てあげたと教えられます。
ユダヤ教、キリスト教の聖典で、イスラム教の啓典である旧約聖書にある「創世記」で述べられる、神が世界を6日でつくり、6日目に神に似せて人間を造ったという話との違いは一目瞭然です。
月日にわせかいぢううをみハたせど
もとはじまりをしりたものなし
第13号 30このもとをどふぞせかいへをしえたさ
『おふでさき』
そこで月日があらわれてでた
第13号 31
教祖が教えてくださる教えは、世界で唯一無二、まさに元初めた神でなくては教えられない教えなのです。
次回は、立教の意味について、さらに考えたいと思います。
※『Happist』2017年4月号掲載