姫路おでん
数年前に兵庫県姫路市に泊まることがあった。ホテルのフロントで「晩ご飯を食べに行こうと思うのですが、姫路の名物って何ですか?」と尋ねると、若い女性スタッフがニコニコしながらこう答えた。
「おでんです! おでんって普通、しょうゆをつけて食べるじゃないですかぁ。でも、姫路ではショウガじょうゆにつけて食べるんですよ」
(そもそも、しょうゆはつけないけど……)
その夜は姫路のおいしいおでんをいただいた。
同じ鍋でグツグツと
数日後のわが家の夕食。メニューはおでん。小学生の息子がこう尋ねてきた。
息子「お父さん、おでんっていろんなものが入っちょるよね。僕は鶏肉が好きなんよね。あさこちゃんちのおでんには白菜が入っちょるんだって」
私「うわぁ、鍋みたいでうまそうじゃなぁ」
息子「でも、不思議じゃね。おでんっていろんな物が入っちょるのに、全部同じ味がするんよね」
私「ほー、なるほど、そうじゃね。おでんの具にはダシを出すものと、ダシを吸うものがあるんよ。お前の好きな鶏肉はダシを出す方かな。白菜はダシを吸っておいしくなるじゃろうね」
息子「同じ鍋に入っちょる具たちが協力して、おいしいおでんになっていくんじゃね」
ほほー、良いことを言う! なるほど、学生会や学修の班を一つの鍋だとしたら、おしゃべりな人と聞き上手な人。豪快な人ときめ細かな人。いろんなメンバーが集まって、教祖の御教えというお汁に漬かりながら、いい味を出したり吸ったりして、味わい深いグループができていくんだろうなぁ。
教会も家族も、同じ鍋でグツグツと煮てもらっているようなもの。みんな違ってみんないい。教えというお汁をしっかり吸って、個性という味を出して、おいしいお互いに育ちたいものだ。
福江家の場合
息子「うちの家族もいろいろだけど、きょうだい5人と父さん母さん、おじいちゃんおばあちゃんで、それぞれいい味出してると思うよ」
私「ほう、例えば?」
息子「はなちゃんは、黒くて細いからゴボウね。おばあちゃんは白くて柔らかいからはんぺん、お兄ちゃんはカッコイイから鶏肉ね」
(うん? 鶏肉ってカッコイイのかぁ)
私「で、で、ところで、ところで、父さんは?」
息子「うーん、そうじゃなぁ、父さんが怒ると、僕は涙が出るから、父さんはカラシ!!」
(……、せ、せめて同じ鍋にいれてよ)