中村吉元「あなたにとっての”ゾウ”は誰ですか?」

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何気ない支え

ある日、子どもと一緒に動物園に出かけときのことです。ゾウのエリアに着いた途端、息子が「父さん、見て!ゾウさん!おっきい!すごい!」と目を輝かせて夢中で、特に水浴びをするゾウを見たときは、「わあー!」と大興奮していました。普段、私が帰宅すると飛びついて喜んでくれる息子ですが、そのときよりも、はるかにうれしそうでした。

ゾウのことが少し嫌いになりかけたとき、飼育員さんの解説が耳に入りました。

「ゾウの鼻の嗅覚は、犬の2倍なんです。広いサバンナに住むゾウたちはその鼻を使って、水の匂いを嗅ぎ分け、地下にある水源を掘り当てることができるんです。」と説明していました。

続けて、「ゾウは自分たちが見つけた水を独り占めすることもなく、飲み終えるとまだ水が残っているのに別の場所に移動するんです。残されたその「水」は動物たちのオアシスとなり、彼らは知らぬ間に多くの動物たちの命を救っているんです」とあり、私は感心しました。

生活するために何気なく探しだしたその水が、他の動物たちにとってはなくてはならない大きな「支え」となっているのです。

そのような「支え」はあなたの身近にも存在していると思います。悩んでいるときに、深くは聞かずただ隣にいてくれる人やあなたの愚痴や不足などを黙って聞いてくれる人、出会い頭にいつものノリで絡んでくれる人などさまざまな人が周りにいるのではないでしょうか?

誰かの心を潤せるように

その人にとってはいつものことなのかもしれません。しかし、改めて考えてみるとそうした行動があなたの「支え」や居場所になっていませんか? そのような何気ないことをしてくれる人がサバンナに住む動物たちにとっての「ゾウ」のようにあなたの支えとなってくれる存在なのです。

もし、存在に気付けたら、自然と感謝が湧き出てくるはずです。その人のためにできることはないかな、とほんの少し意識して行動し、感謝を伝えてみれば、必ず喜んでくれるはずです。

そして、誰かのためにできることはないかな、ともう一歩踏み出してみてください。その優しさは気付かれないかもしれません。しかし、気付かぬうちに、誰かの心を潤し、「支え」となっていくはずです。それは世界を変えるような大きなことではないけれど、目の前の誰かの今日を変える力になるのです。

その積み重ねが私たちが目指す陽気ぐらしにつながるのだと信じています。

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