合田育代「2年分のご用」

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悔しかった学修

3年前の夏、私は初めて「学生生徒修養会 高校の部」のスタッフのお声が掛かった。

3年生女子寮18班カウンセラーのご用を頂き、不安やワクワクの中で本番を迎えた。学生を迎え入れた初日の夜、顔や頭に激痛が走った。ご飯を食べても顔が痛い。笑っても激痛。救護所へ行くと39度の熱。

私はカウンセラーを交代せざるを得なかった。体調が戻ってからは、裏方スタッフとして務めることになった。カウンセラーとして最後まで務めきれなかった悔しさや申し訳なさ、情けなさで内心すごく複雑だったが、残りの期間は精一杯の笑顔で過ごした。

「2年分だからね」

次の年、私はまた3年生女子寮スタッフのご用を頂いた。偶然にも去年と同じ18班のカウンセラー。与えていただいている身体で与えていただいたことを精一杯楽しんで務めよう! そう心に決めた。

始まってみると、初日から三つに分裂する班の子たちに、不慣れな私はパニック状態。けれども不思議と喜びがあふれてくる。去年は今ごろ救護所だったが今年は初日を無事に通ることができた。それだけでありがたかった。

身上・事情はこれでもかというほど毎日見せていただいた。そのたびに悩んで自分のふがいなさ、いたらなさに毎晩泣いた。それでもそんな状況を喜んで楽しんで通れたのは、できない苦悩や悔しさを経験したからだ。

ある晩、寮長先生が言った「2年分だからね」。それを聞いてフッと笑えてきた。「あ、そうか、去年務めきれなかった分、今2年分のご用をさせてもらっているのか。去年のおかげで今こんなに喜んでご用ができている。このご用を受けるための去年だったのかもしれない」。そう思うことができた。

最初分裂していた班の子たちが、毎晩一番遅くまではしゃいでいる。早く寝なさいと注意しつつも、仲良く楽しそうな姿にうれしくて目頭が熱くなった。

最終日、2日前まで「帰りたい」と毎日言っていた子たちが、全員そろって修了証書を受け取る姿に、親神様・教祖のお働きを感じずにはいられなかった。

必要な肥

やりたかったことができなかった。務められなかった。挫折した。きっとそれは、次のステップに進んだ時、必要な肥になる。

進んだ先で、目の前に立ちはだかった高い壁を見上げて嘆く時、きっと、「2年分だからね」とフッと笑えれば気持ちはずっと軽くなる。

しやハせをよきよふにとてじうぶんに

みについてくるこれをたのしめ


おふでさき第2号42
写真・2列目一番右が合田さん
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