福原夏央「日々の種まきをしよう」

もくじ

日々の積み重ねによって

私がおたすけをしている、A君の話です。

彼は心優しく、何事にも一生懸命な青年ですが、精神的な身上から、ちょっとしたことで心が乱れてしまいます。頑張って仕事に通うのですが、続かなくなってしまいます。

ある日、心の調子が良くないようで「どうかな」と思っていた矢先、だんだんと引きこもる生活が始まってしまいました。「大丈夫? 心配してるよ」と声を掛けると「上司からひどいことを言われたから辞めた。自分は悪くない。出て行ってくれ」の一点張りです。

これまでのA君を見ていると、彼は生活リズムを正すのが苦手で、昼夜が逆転してしまい、仕事をサボってしまう傾向にありました。おそらくそのことを指摘されて、嫌になってしまったのだと思います。

「じゃあ、どうするか一緒に考えよう」ということで、じっくりとお話をしました。

日々嬉しい一つの種は、一粒万倍に成りて日々治まりて来る。

『おさしづ』 明治24年12月19日 夜

毎朝、早起きして、機嫌よく仕事をこなし、そのリズムを定着させるのはとても難しいことかもしれません。しかし、そうした「日々の種」を繰り返しまけばたくさんの喜びに囲まれていき、その努力の積み重ねによって、良い芽がたくさん生えてくると思います。しかし、そのリズムが狂い「種をまかない」生活になってしまうと何も実らず、いつまでも心が治まらないという状況が続くと思うのです。

話が終わった後、彼は「僕の生活リズムに、問題があったんですね」と、ぽつりと言いました。

どんなことも焦らずに

それから数日後、彼が突然、教会の朝づとめに参拝してくれました。その後、おさづけを取り次ぐと、彼は「ちょっとずつ、何かに取り組んでみようと思います」と前向きな言葉をくれました。

「自分の心に矢印を向ける」と言いますが、自分の心の弱い部分を見つめることは、とてもつらく、難しい作業です。しかし、何度失敗しても、時間をかけても、矢印を自分に向けていくことこそが大切なのだと思います。

事情は無くてはならん。成る成らんの道を越し、日々越し、年々越し、春の理を始めたるなれば、静かの心を持ちて、静かの理を始め聞くという。事情の始まったる事情は、めん/\の心という。めん/\長く心を持って一つの理を育てる。これまでの事情、艱難の事情を見て、遙かの理置いて、どんな事も急いてはいかん。静か理や無けりゃ治まらん。心一つの理によって皆治まる。

『おさしづ』 明治23年5月15日

親神様からお見せいただく事柄は、全て私たちに必要なことだと信じています。どんなことも焦らずに、じっくりとやっていきましょう。

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