板倉眞「好きな言葉」

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「今日はこのまま終わろうかな……」

皆さんには、好きな「教祖のお言葉」はありますか?

「人たすけたらわがみたすかる」「朝起き、正直、働き」「やさしい心になりなされや」など、教祖は私たち人間が陽気ぐらしできるようにと、たくさんの言葉や行いを「ひながた」として残してくださっています。ひながたを知っていると知らないとでは、人生において大きな違いがあると思います。

私は7年程前、単独布教に出ました。最初のうちこそ勇んでいたものの、なかなかにをいもかからず、話すら聞いてもらえないまま3日目の夕方となり、心が折れそうになりました。ベンチに腰掛けて休憩し、「今日はこのまま終わろうかな……」と思っていました。その時、私の頭にある言葉が浮かんだのです。

それきり、力は出ないのかえ

『稿本天理教教祖伝逸話話』118「神の方には」より抜粋

教祖は、おやしきに帰ってこられた先人の先生方と力比べをされることがあったそうですが、これは教祖が普通の人間ではなく、月日のやしろであることを当時の人々に分からせるためだったと考えられています。このお言葉も、その力比べの時に述べられたお言葉です。

このお言葉は、私が布教に出る前に参加したにをいがけ勉強会で、ある先生が挨拶の際に引用されていました。その先生は、「にをいがかからず、もうあかんと思ったときに、この教祖のお言葉を思い出して、『もう一軒』と力を出してみましょう」と言われました。

「明日からも頑張りや」

まさに「もうあかん」という状況だった私には、ピッタリのお言葉でした。そして「もう一軒」とピンポンを押し、「天理教の板倉と言います」と言いました。「うちは別の信仰をしているので」とインターホン越しに断られ、「ありがとうございました」と言って去ろうとしたら、呼び止められたのです。

「天理教の板倉さんと言いましたね。昔一緒に仕事をしていた人で、『これから天理教一本でやっていく』と言って退職した人がいます。その人も板倉さんだった」

「それは私の父親です!」

私はびっくりしました。私の父は昔仕事をしていて、教会を受け持たせていただくという話になった時、仕事を辞めていたのです。その方は当時の同僚の方で、玄関先まで出てきてくださり、しばらくお話することができました。

「明日からも頑張りや」と教祖に言っていただいたような気がしました。

私は、この教祖のお言葉を知らなければ、ベンチに腰掛けてそのまま一日を終え、心が折れていたかもしれません。「それきり、力は出ないのかえ」私はこのお言葉に助けられ、このお言葉がとても好きになりました。

皆さんには、好きな「教祖のお言葉」はありますか?

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