第10回 元の理を味わう

神様のお言葉に、

いまゝでにないたすけをばするからハ
もとをしらさん事にをいてわ

『おふでさき』 9号 29

いまゝでもしらぬ事をばをしへるハ
もとなるをやふたしかしらする

同 9号 30

元なるのをやふたしかにしりたなら
とんな事でもみなひきうける

同 9号 31

と仰せくだされます。

人間を創造したのは誰なのか。
何のために造られたのか。
どのようにして造られたのか。

つまり、人間とは何かを、造り主自らが根源から説き明かすことによって、世界中の人間をたすけるのが、元の理(もとのり)のお話です。

要約して申しますと、この世の初まり出しの時には、一面見渡す限りの泥海の中に、たくさんのドジョウばかりが泳ぎ回っていた。
その中に居られた月日(つきひ)様は、この様子を味気なく思われ、もっと面白いものをこしらえて楽しもうと思いつかれた。

そして、その中に混じって泳いでいた「うを」(魚)と「み」(白蛇)を引き寄せて、これを夫婦のひな型(原型、モデル)とし、続いて生きるために必要な働きを受け持つ道具となってくれるもろもろの者たちも引き寄せて食べられた。
こうしてひな型と道具が皆定まり、月日様はたくさんのドジョウを皆食べてこれを人間の種とし、夫婦のひな型に入り込んで、やがて人間となる最初の生き物を生み出された。

それよりも神のしゆことゆうものわ
なみたいていな事でないぞや

同 4号 125

私たち人間は、親神様(おやがみさま)によって五分(ごぶ)から生み出され、九億九万九千九百九十九年という、想像もつかない長い年月をかけて、今日のような、親神様のご守護を頂けば何でも分かる、何でも出来る、何でも作り出せるような、素晴らしい人間にお育ていただいたのです。
そして今もなお、身の内に入り込まれて、ひとときの休みもなくご守護くださっているおかげで、私たちは日々元気に暮らしていけるのです。

月日よりたん/\心つくしきり
そのゆへなるのにんけんである

同 6号 88
もくじ

元を知る大切さ

親神様は、

このもとをくハしくしりた事ならバ
やまいのをこる事わないのに

同 3号 93

このもとをどふぞせかいへをしへたさ
そこで月日があらわれてゞた

同 13号 31

と、この元の理を世界中に伝えたいがために、この世の表に現れたのだと仰せられます。

この世の元初まりを知ることが、この世の中の真実を知るために一番大切なことです。

例えば、私たちが映画を見たり、テレビドラマを見たりするときに、途中から見ても話が分かりませんね。
確かに、面白い映画は途中から見ても、どのシーンを見ても面白いものですが、話の筋は分からない。
本当に話が分かるためには最初から見ないと分からないでしょう。

それと同じで、この世の中の真実、人間の本当の真実を知ろうと思ったら、その元々の初まり出しを知らなければ、本当のことは分からないのです。
その初まり出しこそが一番大切なのです。
なぜなら、この元初まりの時に、この世と人間の全ての構造が定められたからです。

そして、この世人間の元初まりを知っているのは、元の親である親神様だけなのです。
そしておやさまだけが、親神様のお声をそのままに私たちにお伝えくだされたのです。

元の理における男と女

最近、草食系男子とかいう言葉がはやっていますが、表面的にはともかく、本当は昔も今も、若い男の子は女の子に興味があり、女の子は男の子に興味があるものでしょう。

では、男らしさ、女らしさについて、おやさまはどう仰っているのでしょうか。

元の理のお話では、うをとみが、月日様のお呼びに応えて真っすぐにやって来たというように、ひとすじ心ということがポイントになります。

それから、月様の心が「いざなぎのみこと」に、日様の心が「いざなみのみこと」に入り込まれて、そうして宿し込みが行われた、という話が出てきます。

これが私たち人間の男女のひな型、すなわちモデルである。

だから、私たちはひとすじ心で、月日親神様の御心を頂いて通るという心掛けが一番大切です。
そこに夫婦の治まりの根本がある。
そこに陽気世界が生まれるのです。

おやさまはよく

男は水のような心、女は火のような心

『教祖より聞きし話・高井猶吉 先人の遺した教話(四)』

と仰ったそうです。

では、「水のような心」とはどういう心でしょう。

純粋な水は澄み切っていて、あらゆるものをよく映す。
また、水は方円の器に従う、と言われるように、どんな入れ物にも従い、高い所から低い所に流れ、温められると水蒸気となって天に昇り、また雨となって地上に降り注ぐ。
また、水ほどいろいろな物質をよく溶かす溶媒はないとも言われます。
そのように、水は非常に素直であることによって、万物を生かす生命の源になっている。

その他にも、水にはいろいろと不思議な性質があるようですが、一番大切な要点は、理に素直であることによって、万物を生かすという性質ではないかと思います。

まず、男が理に素直であることによって理が立つ。
そこに万物が育つのです。
ツッパルことが男のたった一つの勲章だ、という歌がはやったことがありますが、何も自分の我を立てて突っ張ることが男の男たるゆえんではない。
理に素直であることにおいて突っ張ることこそ、男の真の甲斐性(かいしょう)であると思います。

一方、「火のような心」とはどういう心でしょう。

火は万物を温め、生かす。
温かみのない所に命は育たない。
温かくすべてを包み込む心に、命は育ち、末代に繋がっていくのです。

こうして夫と妻、火と水とが心を一つに合わせるところに、万物が育つ。
陽気な世界が生み出されていくのです。

つづく

※『Happist』2013年1月号掲載

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