村田薫「『聞く』のではなく『聴く』」

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ブラジルへの出発

「日本から見える月は、ブラジルから見える月と同じかな?」と、小学生の娘に聞かれた。7月の終わり頃だったと思う。コロナ禍の影響を受けて、4月初旬に決まっていた家族揃ってのブラジルへの出発が延期に延期を重ね、ようやく確定した頃だった。

おぢばを出発してから伊丹空港から東京まで行ったが、わが子4人にとっては初めての飛行機だった。成田空港で出国手続きをしたが、ニュースで見ていたとおり、空港内は閑散としていた。夕方の時間帯だったが、まるで深夜便に乗るかのようだった。

ペルーからの帰参者

3月までは海外部ラテンアメリカ課というところで勤務をさせていただいており、中南米の方々と接する機会が多かった。

昨年11月のこと、ペルーから3名の方がおぢばに帰って来られた。別席を運ぶために帰参された信者さんとその会長さん、もう一人は教会の近所に住んでいる知人で、信仰しているわけでもなく、観光に来られた方。別席のために帰ってこられた方は熱心に運んでいたが、最後のほうでは真剣さのあまり、断食までされた。

観光に来られた方は付き合いという意味もあってか、一回だけ別席の話を聞いてみると会長さんに伝え、初席を運ばれた。ところが、どうしても気になる箇所があるのでもう一回聴きたいと言っているうちに結局数回運んだ。別席のお話に感銘を受け、特にほこりといんねんの話が心に響いたようである。

ただ「聞く」のではなく、しっかり「聴く」

昨年の3月、学生生徒修養会大学の部で別席を運ぶ受講生だけを集めて別席について説明をする時間があり、一通り話をしてから最後に「別席は古い表現や難しい表現も多く、分かりにくいので眠たくなるという意見もあるけど、絶対に寝てはいけない。大切なお話なので真剣に聴いてください」と伝えた。

別席が終わった日の夜、学生さんの反応をカウンセラーさんに聞いてみると「別席の話を真剣に聴けと言われたので眠たいのを我慢してずっと聴いていたからその後のグループタイムで寝てしまった」というコメントがあった。別席に限ることでは無いが、1時間半も集中して聴くとそれなりに体力も使う。

このコロナ禍の中、自分自身の信仰姿勢を見つめ直すことが大切であると聞かせていただく。その手段はさまざまだが、道の学生の皆さんには特に別席をお薦めしたい。もし17歳以上でまだ別席のお話を聴いたことがないのであれば、この機会にぜひ初席を運び、初席は済んだけどその後続いていないのであれば中席を運んでほしい。ただし、別席のお話をただ「聞く」のではなく、しっかり「聴く」こと。

繰り返し聴くうちに

お道の草分けの頃、熱心な先人の先生方は何時間にもおよぶ教祖のお話を一、二度ならず、何度も聴かれた。その先生方も後から入信してきた人に同じような内容のお話を何度も繰り返し話された。この世元初まりのお話から始まって、親神様のご守護、身の内かりもの、八つのほこり、そしていんねんについてのお話など。別席で聴かせていただくお話とほとんど同じである。

先人先輩方も一度や二度お話を聴いただけで理解できたわけではない。繰り返し同じ内容のお話を聴くことによって最初は分からなかったことも理解できるようになり、分かっている内容もより深く味わえるようになっていったのである。

別席は人間の理屈で考えるものではない。「聴く」気があれば、親神様は働いてくださりだんだんに分かるようになる。まずは真剣に聴きましょう。

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