清水慶政「まずはお礼から」

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まずはお礼から

何年か前の秋のこと。御本部の神殿当番で、教服を着て回廊を歩いていると、親里管内の高校の制服を着た3人の小柄な男子学生が駆け寄ってきました。そのうちの一人が神妙な面持ちで、
「すみません。ちょっと質問してもいいですか?」と尋ねてきました。
「ん? いいよ。どうしたの?」と答えると、
「僕は、おつとめをする時に、どうしても見返りを求めてしまうのですが、どうしたらいいと思いますか?」
「ふーむ。そっか…。見返りを、求めてしまう…か」
意外と深い内容で少し戸惑いましたが、少し考えて、
「その見返りっていうのが、どういうことなのかはよく分からないけれど、お願いはしてもいいと思うよ。だけどその前に、必ず先にお礼を申し上げるようにしたらいいと思うよ」と答えました。

少年たちは意外そうな顔をしています。
「おつとめの時は、誰かのたすかりを願いなさい」あるいは「もう既に十分にご守護頂いているのだから、それ以上のご守護を求めるのは欲の心です。心のほこりを払いなさい」というように親御さんや先生に教えられたのでしょうか?


「僕たち人間は、常に親神様(おやがみさま)から、とてつもないほどのご守護と親心をお掛けいただいて生きているんだよね。つまり、生きてるだけで、親神様にめちゃくちゃ大きなご恩があるんだよ。だけど、親神様は親だから、子どもに対して恩着せがましいことを言ったり、見返りを求めたりなんかはされないけれど、それをいいことに、お礼も言わずに、お願いばっかりしているとしたら、これは申し訳ないことだよね?
だから、参拝をする時は、必ず最初にお礼を申し上げるようにしたらいいと思うよ。親神様のおかげで今日も結構に通らせていただいてます。ありがとうございますってね。その上で、何かお願い事があれば、お願いさせてもらえばいいんじゃないかな?」

そう伝えると、「なるほど…」とつぶやきながら、何やらノートにメモを取っています。そして、
「すみません。先生のお名前と教会名を教えていただけますか?」 「えっ! あぁ、兵神大教会の清水です」
「兵神大教会の清水先生…」と言いながら、またメモを取っています。そこで、私は、
「ねえ、ところで、これは学校の宿題か何かなの?」
と尋ねると、
「いえ、将来お道を通る上で、何かの役に立つかなと思って」
そう言うと、爽やかな笑顔で「ありがとうございました」と丁寧にお辞儀をして、3人の学生は教祖殿の方へ走り去って行きました。

「お道を通る上で、何かの役に立つかなと思って…」
予想しなかった学生の答えに若干の驚きを感じつつ、道の将来を担う人材の何かのお役に立てたなら嬉しいな、と清々しい気持ちでその場を後にしました。

「この世は神の体、人間は神の懐住まい」とお聞かせいただきます。親神様あっての私たち人間です。ですから、とにかくまずは「親神様のおかげ」「教祖(おやさま)のおかげ」と、感謝とお礼を申し上げて通ることが、ご守護を頂く鍵である、と改めて再確認させていただけた、おぢばでの出来事でした。

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