第1回 出会い

〈Happist〉読者の皆さん、こんにちは。
今回、「教理コーナー」を担当することになりました、高見です。

私が学生時代に、森田公一とトップギャランが『青春時代』という歌を出し、ミリオンセラーになりました。

青春時代が夢なんて
あとからほのぼの思うもの
青春時代のまん中は
道にまよっているばかり
青春時代のまん中は
胸にとげさすことばかり

今でも思い出して口ずさむと、ほろ苦い思い出がよみがえってきます。
皆さんは今、その渦中ということになるのでしょうね。

このコーナーでは、お道の信仰という物差しがあれば、どんなことが見えてくるのか、『天理教教典』の後篇である「てびき」「かしもの・かりもの」「道すがら」「よふぼく」「陽気ぐらし」の教えを手掛かりに考えていきたいと思います。

もくじ

私とお道は許嫁(いいなずけ)?

テーマは、「出会い ふれあい たすけあい」です。
人にはいろんな出会いがあります。
その中で互いの心を触れ合わせ、たすけ合って生きています。
決して一人で生きているわけではありません。
そう思うと、何か心がホッとしませんか。

ところで、私は大学生の時、原典である「おふでさき」を読み始めようと思いました。
それはあることがきっかけでした。

私は学生時代、よく小説を読みましたが、中でもが遠藤周作(えんどうしゅうさく)が好きでした。
遠藤は、カトリックの敬虔(けいけん)な信仰を持つ作家ですが、信仰上の葛藤を作品のテーマにしています。
著書の一つである『私にとって神とは』の中で、「なぜ、自分は信仰をするのか?」という問題を結婚に例えて、「結婚には見合い結婚、恋愛結婚とあるが、自分とカトリックはいいなずけの関係だ」というようなことを書いていました。

誰かに結婚相手を勧められれば、それはお見合い結婚になるし、自分から好きになれば恋愛結婚ということになるでしょう。
でも遠藤は「いいなずけ」、すなわち幼い頃から親が結婚を認めた間柄の人だというのですね。
そんな考え方があるのかと目からうろこが落ちました。
当時の私はこの言葉に、何か肩の荷が下りたような気になったことを覚えています。
そして、私のいいなずけである天理教の教えについて知りたくなり、自然と「おふでさき」を読みたいという気持ちになったのです。

「しやハせ」良きように

ところで読み始めると、気になるお歌が一首出てきました。
それは、

しやハせをよきよふにとてじうぶんに
みについてくるこれをたのしめ

『おふでさき』 2号 42

というお歌です。

理屈屋の私は、「しやハせ」は「良いこと」なのに、どうしてことさらに「楽しめ」と仰るのか、実は不思議に思ったのです。

後日、国語辞典を引くとその謎が解けました。
「しやハせ」には「幸せ」の他に、「仕合せ」という意味があったのです。
後者は「巡り合わせ」、つまり「出会い」ということです。

信仰の道に付くと、「出会い」が身に付いてくるので楽しんでほしい、ということだったんですね。
人は「出会い」の中でたすけていただけるということです。

もちろん「出会い」は人だけではありません。
私たちは何よりも教祖(おやさま)の教えと出会うことができます。

『天理教教典』第六章「てびき」では、

いかなる病気も、不時災難も、事情のもつれも、皆、銘々の反省を促される篤い親心のあらわれであり、真の陽気ぐらしへ導かれる慈愛のてびきに外ならぬ。

『天理教教典』 59ページ

とあります。
そこでは、身の上に掛かってくる困り事すらも「出会い」だと教えられています。

松村吉太郎先生のこと

お道の偉大な先人に、松村吉太郎(まつむらきちたろう)という先生がおられます。
先生は初代真柱様と天理教の一派独立運動に奔走された重鎮です。

先生は幼少の頃から利発で、何事も理性で判断し、不合理と思える信仰には服しないという気性を持っておられました。
それだけに、信仰に対しても真剣に悩んでおられたのです。

明治19年の春、悪性の肋膜炎(ろくまくえん)を患い、本気で信仰することを誓い、たすけられた先生が「おぢば」にお帰りになった時のことです。
もともと、学問の素養があった先生は、当時、教祖のおそばにおられた方たちの無学さや粗野な振る舞いに軽蔑の思いを持たれました。

皆、教祖にたすけられた方たちでしたが、素直に入っていけないものを感じられたのでしょう。

ある時、教祖は

この道は、智恵学問の道やない。来る者に来なと言わん。来ぬ者に、無理に来いと言わんのや。

『稿本天理教教祖伝逸話篇』 190 この道は

と仰せになりました。
実はこのお言葉との「出会い」が先生の心の葛藤を救うことになります。

私たちの浅薄な知識やプライドは時として信仰の妨げになります。
皆さんも、もし信仰に迷うことがあれば、松村吉太郎先生の自伝である『道の八十年』を読んでみてください。
良き「出会い」となるはずです。

つづく

※『Happist』2013年4月号より再掲載

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