第6回 親神様のお働き −その1−

もくじ

“元の神”ってどういうこと?

この世がまだ混沌とした泥海の世界であったころ、親神様(おやがみさま)はその様子をご覧になり、味気なく思召されました。
そこで人間を創って、人間同士が互いに立て合い、たすけ合って「陽気ぐらし」をする姿を見て共に楽しみたいとお考えになりました。
そして、長い年月をかけて人間をお創りくださると共に、私たち人間が陽気ぐらしをするためのさまざまな準備も整えてくださいました。

このように、何もないところから、すべてのものを創り出された神様であることから、親神様は元を拵えた神様、つまり「元の神」であるとお教えいただいているのです。

“実の神”ってどういうこと?

親神様は人間をはじめ、すべてのものをお創りになって、そのまま放っておかれたのではありません。
今現在もなお、自然界における火、水、風のお働きをはじめ、私たちの体内にも入り込んでお働きくだされています。

私たちの命を1分1秒も途切れることなくご守護くだされている神様であることから「実の神」であると仰せられ、そのお働きをより理解しやすいように、親神様の十全の守護として、下記の表のように説き分けられています。

十全の守護って、神様が10人いるの!?

私たちは目で物を見たり、鼻でにおいをかいだり、手で物をつかんだり、足を使って移動したりと身体のそれぞれの器官を使ってさまざまな働きができるようになっています。

その働き一つひとつが、親神様の十全の守護によるものなのです。
その一つひとつのお働きを私たちによく分からせてやりたいとの親心からそれぞれのお働きに神名を配されているのです。
決して、10人の神様がいて、それぞれが別々に働いているということではありません。
すべて親神様のお働きなのです。

エピソード1

今から30数年前、当時会長であった父の海外布教に対する熱い思いを受けて、私の教会から若い夫婦が遠くフランスの地で布教をすることになりました。
以来10年余、2人は真面目にコツコツと歩いて「にをいがけ」に励んだ結果、現地の参拝者や住み込んでくださる方までできたのですが、2人の間にはなかなか子どもを授かることができませんでした。

ある年、父が渡仏した際、その夫婦に、「夫婦に子どもを授かる、生まれるということは人間の知恵や力でできることではなく、一切が神様のお働き、ご守護によって成ってくるのだから、神様に働いていただくために、何かお喜びいただける心を定めさせてもらったらどうか? 神様が一番お喜びくださるのは神様の思召をより多くの人様に伝えひろめさせていただくことだと思うが…」と話しました。2人は相談の上、パリの中心にあるリュクサンブール公園で神名を流す心を定め、父は夫婦それぞれに「おさづけ」を取り次ぎました。

翌日からパリの中心で「天理王命」の神名が響きわたりました。夫婦が心を定めてからちょうど10カ月後、2人の間に可愛い娘を授けていただいたのです。

たいないゑやどしこむのも月日なり
むまれだすのも月日せわどり

『おふでさき』 6号 131

生命はどのように誕生するの?

私たちはある年ごろになると異性を意識しはじめ、やがて恋をして、夫婦となって結ばれ、家庭を築き、2人の愛の結晶として子どもが生まれ、愛情いっぱいに子どもを育てます。

私たちは、この一連の過程を繰り返すことで、命をつないで今日に至っています。
人間が存在し続けていく上で最も大切なつなぎの部分がすなわち生命の誕生であり、親神様のご守護によってのみ成すことのできる神ワザなのです。

前掲の表に照らし合わせて考えてみると、生命が誕生するには、まず、「月よみのみこと」(男性生殖器)、「くにさづちのみこと」(女性生殖器)を道具として、「いざなぎのみこと」(精子)、「いざなみのみこと」(卵子)それぞれのお働きにより、命が授けられ、母親の胎内で10カ月余をかけて一つの生命(受精卵)は細胞の分裂を重ねて、さまざまな器官や臓器を形成しながら人としての姿となっていくのです。

そして、時が満ちると、いよいよ出産のサイン、陣痛が起こり、「をふとのべのみこと」のお働きによって新たな生命を引き出してくださり、最後に、「たいしょく天のみこと」のお働きによって胎内でつながっていた母と子の胎縁(ヘソの緒)にハサミを入れて、2人を切り離してくださるのです。

生命はどのように育ってゆくの?

母親の胎内から出るとまず、「かしこねのみこと」のお働きによって呼吸をします。(オギャーオギャー!)
また、息は吹き分けの働きで次第に言葉を身に付け、私たちが社会生活をする上で最も大切なコミュニケーションの土台となるのです。

また同時に、生まれた赤ちゃんは、「くもよみのみこと」のお働きにより、自ら母親のお乳を吸って栄養を取るようになり、消化、吸収、排泄の働きが備わります。

そして体内に取り込まれた栄養(エネルギー)は、「をもたりのみこと」のお働きにより心臓をポンプとして血管を通って全身に行きわたり、体温(ぬくみ)を維持していただいています。

「くにとこたちのみこと」の水のお働きは、胎内においても、生まれ出てからも必要で、すべての過程に欠かせません。

神様のお働きは人知を超えたものなのです。
私たちは親神様の絶大なるご守護をいただいて生命を支えていただいています。
それを忘れずにいつも感謝して暮らすことが大切なのではないでしょうか?

つづく

※『Happist』2010年11月号掲載

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