最終回 続・おつとめの心

最終回の今回は、「おつとめ」の第二「ちよとはなし」、第三節「いちれつすましてかんろだい」のお歌について。

まず第二節には、最も大事な、この世の元初まりが語られています。

 ちよとはなし かみのいふこときいてくれ
 あしきのことはいはんでな
 このよのぢいとてんとをかたどりて
 ふうふをこしらへきたるでな
 これハこのよのはじめだし
 なむてんりわうのみこと ようしようし

というお歌ですが、まず、「ちょっと話をする、神の言うことを聞いてくれ。悪いことは言わないから」ですね。
そして、この世の地と天というのは、この世は神の身体と仰せられ、また、

このよふのぢいと天とハぢつのをや
それよりでけたにんけんである

『おふでさき』 10号 54

とも教えられますように、親神天理王命さまご自身です。

「かたどりて」とは、漢字で書けば「形取りて」で、形を写し取って、という意味です。
ですから、AをかたどってBをこしらえる、とは、Aの形を写し取って、それと同じようにBをこしらえる、という意味になります。
ただし、この場合の「形」とは、目に見えた形だけでなく、むしろその奥にある目に見えない本質的構造、理を指しています。

つまり、「このよのぢいとてんとをかたどりて ふうふをこしらへきたるでな」とは、この世の地と天、すなわち親神様(おやがみさま)ご自身に似せて夫婦をこしらえてきたのだよ、という意味になります。

この月日親神様が、泥海中で泳いでいたドジョウを種として、夫婦のひな型である「いざなぎ」「いざなみ」に入り込まれて、わが子として、私たち人間をお生み出しくださいました。

そして、今日まで、九億年以上という、想像もつかない長い年限をかけて、親神様の天地抱き合わせのご守護の中で、ずーっと守り育ててきてくださったのです。

全ての人間は、この月日親神様のかわいいわが子として、同じ魂を持ち、月日親神様のお身体をそのままわが身の内にお借りして使わせていただいている、一れつきょうだいであります。

そして、心一つをわがのものとして許し与えられました。
いざなぎ・いざなみ様のように、ひとすじ心になって親神様の思召(おぼしめし)にもたれて通るとき、親神様は十分に身の内に入り込んでご守護くださいまして、親神様の子どもであるという魂の本質そのままに「陽気ぐらし」を味わわせていただけます。

そして、人間が親神様の思召にかなわない心遣いをしていて、このままでは危ないよ、と反省を促したいときや、用事とか特に何かおっしゃりたいことがあるときには、身上(みじょう)にしるしを付けてお導きくださいます。

月日親神様は、人間をわが子としてお生みくだされ、今日までお育てくだされたばかりでなく、今もなお、身の内に入り込んで十全のご守護をもって私たちを生かし、お見守りくださり、お導きくだされているのであります。
まさに真実の親であります。

神さんの信心はな、神さんを、産んでくれた親と同んなじように思いなはれや。そしたら、ほんまの信心が出来ますで

『稿本天理教教祖伝逸話篇』 104 信心はな

と仰せられる通りです。

この第二節を歌うとき、まずこの親神様の元初まり以来お育ていただいてきたご恩に感謝し、日々の「かりもの」のご恩にお礼申し上げることが大切です。

そうして、この親神様が、これから先も末代にわたって、私たちみんなをご守護くださるわけですから、親神様にご安心いただけるように、喜んでもらえるように、日々常に思召に沿って通らせてもらうことが何より大切です。
そうお誓いして、「なむてんりわうのみこと」と唱え、親神様にもたれて、ご恩報じの世界たすけに向かうのが、次の第三節です。

もくじ

第三節のお歌

 あしきをはらうてたすけせきこむ
 いちれつすましてかんろだい

最終的な目標は「いちれつすまして」とあるように、世界中の人間の胸の掃除をして、ということですが、その胸の掃除はまずめいめい自身から始まります。

 「たすけ」

究極の陽気ぐらしという「たすけ」。

たすけでもあしきなをするまてやない
めづらしたすけをもているから

『おふでさき』 17号 52

このたすけどふゆう事にをもうかな
やますしなすによハりなきよに

同 17号 53

いつも豊年満作、醜い争いのない、互いにたすけ合う陽気な世界。
親神様の自由自在(じゆうようじざい)のご守護による文化の発達した世界。
病まず弱らずに115歳の定命(じょうみょう)を全うできる世界。

そうした究極のたすけを「せきこむ」とは、単に急ぐというだけではなく、もっと差し迫った気持ちが表現されている感じがします。

そうして一れつの心を澄まし、「かんろだい」を建設して、「つとめ」を完成し、陽気ぐらしの世を実現することこそ、親神様が人間を創造された目的であり、究極の目標なのです。

まとめ

私たちが、まず「あしきをはらうてたすけたまへ」と、親神様に人々の幸せを祈ることから始め、「ちよとはなし」に教えられる、元初まり以来の親神様のご恩を心に深く味わい、そうして一言でもいいからそれを人にも伝えて、お話をさせていただき、「おさづけ」を取り次がせていただくところに、一れつの心は澄み切り、やがてかんろだいが建てられて、思召通りの陽気ぐらしの世が実現するのです。

世界一れつをたすけるために、今もご存命のままお働きくださるおやさまのお供をさせていただいて、まずは足元から、周りの人への「おたすけ」の心を奮い起こして、成人の歩みを一歩でも二歩でも前進させていただきましょう。

最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

※『Happist』2013年3月号掲載

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